映画「太陽は光り輝く」

石井ト
昨年の8月6日(金)にBs103が放送したアメリカ映画「太陽は光り輝く」だが、それを録画しておいたのを昨日も観た。
3度目ほどの鑑賞だが、そのたびに思ったことは、 この映画は、ジョン・フォード監督の隠れた傑作だと感じたこと。観る度に確信に変わってきたというのが実感だ。
理由は、嫌味がなく、長閑なこと。人情ドラマだが泣かないのがいい。特にいいいのは脚本だ。 更に、ケンタッキーの我が家(My Old Kentucky Home)はスティーブン・フォスターの作詞・作曲による歌曲だが、 それを巧みに使ったサウンドトラックが素晴らしい。
アービング・S・コップの短編小説『太陽は光り輝く』『虐殺の暴徒』『神は救う』の3編から、 「黄色いリボン」のローレンス・ストーリングスが脚色し、ジョン・フォードが監督した人情ドラマである。
時代背景は、南北戦争(1861年〜1865年)が終わった後の19世紀末ころのアメリカのケンタキー州の田舎町が舞台だ。
嫌味がないということは、人情ドラマだが涙がないということだ。邦画だと直ぐ泣くが、この映画は泣かないのがいい。 泣かれると、それで見たくなくなるが、この映画は、それがないので、最後までみていられた。 本当に自立的人生を歩む人は、簡単には泣かないのではないだろうか。泣いて済むほど人生は甘くないからだ。 その泣かない世界、ここに本当の人情があるのだと思う。
ジョン・フォードの作品は、「黄色いリボン」(1949年)、「リオ・グランデの砦」(1950年)、「静かなる男」(1952年)、 と名作が続いたたが、この映画は1953年の作品で、一番脂ののり切ったころの作である。 特に、脚色は「黄色いリボン」のローレンス・ストーリングスが書いていることでも分かるように、男のロマン、即ち泣かない人情を描いた名作だと思う。
この頃にしては珍しい白黒映画だが、脚色がいいし、隠れたジョン・フォード・フォードの名画だと思う。 図書館などで借りたりして観ることをお勧めする。
BGMからではないが、フォスターのケンタッキーの我が家にリンクを張っておく。 バンジョーの伴奏でカントリーテーストのケンタッキーの我が家は、ここをクリック下さい
このフォスターの歌の世界の雰囲気を絵にしたのがこの映画だと思う。脚本がそれを可能にしたようだ。
The sun shines bright in my old Kentucky Home,
'Tis summer, the darkeys are gay,
The corn top's ripe and the meadow's in the bloom;
While the birds make music all the day,
The young folks roll on the little cabin floor,
All merry, all happy, and bright,
By'n by hard times comes a-knocking at the door,
Then my old Kentucky Home, good-night!

 Weep no more, my lady,
 Oh weep no more today!
 We will sing one song for the old Kentucky Home,
 For the old Kentucky Home, far away.

They hunt no more for the 'possum and the coon,
On the meadow, the hill and the shore,
They sing no more by the glimmer of the moon,
On the bench by that old cabin door,
The day goes by, like a shadow o'er the heart,
With sorrow where all was delight,
The time has come when the darkeys have to part,
Then my old Kentucky Home, good-night!

 Weep no more, my lady,
 Oh weep no more today!
 We will sing one song for the old Kentucky Home,
 For the old Kentucky Home, far away.

The head must bow and the back will have to bend,
Wherever the darkeys may go;
A few more days and the trouble all will end,
In the field where the sugar canes may grow,
A few more days for to tote the weary load,
No matter, 'twill never be light,
A few more days till we totter on the road,
Then my old Kentucky Home, good-night!

 Weep no more, my lady,
 Oh weep no more today!
 We will sing one song for the old Kentucky Home,
 For the old Kentucky Hom
バンジョーミュージックをもう一つ聴いてみよう。 「ロリーナ」という曲だが、メロディーは聴いたことがあるが、詳細は不明。次のコメントが唯一の手がかりだ。
First published in 1857 “Lorena” became a soldier’s favorite for both armies, North and South during the American Civil War. The lyrics were written by Rev. Henry D. L. Webster and the music composed by Joseph Philbrick Webster. The song and this scene are featured in the film, “The Road to Valhalla.”
「ロリーナ」は、ここをクリック下さい。
もう一つ聴いてみよう。 「Why Don't You Do Right」というスイングジャズだ。初めて聞く曲だが、ベニーグッドマン楽団とペギー・リーのパフォーマンスが素晴らしい。
「Why Don't You Do Right」は、ここをクリック下さい。
録音は1943年。昭和でいえば18年で所謂戦時中である。ペギー・リー、流石だね。 「ソフト・アンド・クール」と評された歌手だ。 日本人歌手でこんな発声の歌手はいないと思う。理由は、 日本語は母音が多いからだろう。生まれは1920年だから、当時23歳だったことになる。
この「Why Don't You Do Right」1943年は100万枚以上の売り上げを記録し、彼女の名を知らしめたそうだ。 聴けば、ベニー・グッドマンのクラリネットも、ここでは彼女の引き立て役だね。
そして約60年後の2002年1月21日に糖尿病と心臓発作の合併症により81歳で死去したそうだ。 ・・・惜しい!・・・私の歳で死ぬなんて!・・・俺でさへ生きているのに!・・・喘ぎ喘ぎだが。
歌詞の出だしの部分を少しだけ記してみよう。
You had plenty money,1922(あなたは1922年には大金持ちだった)
You let other women make a fool of you(今では女どもにバカにされてる)
Why don't you do right,like some other men do?(どうしてあなたは他の男どもがするようなことをしないの?)
Get out of here and get me some money too(出てってお金をもってきてよ、私にも!)
・・・
題名の"Why don't you do right"の"do right"とは、道徳的であれということではなくお金を稼ぐことだったわけだ。・・・現実的だよね、女性は。
 
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